空をなくしたその先に
抵抗を続けていたダナの手が下に落ちる。

がくりと腕を落としたダナを、
男はディオの目の前に無造作に放り投げた。

動くことのない身体。

奇妙に捻れた手足。

壊れた人形を連想させられて、ディオはただ彼女の名前を呼んだ。


「次はお前だ」


ダナを抱きしめたまま動けないでいるディオに、
男が近づいていく。

わざと日光をナイフに反射させながら。

彼女の身体を抱く腕に力を込め、ディオが目を閉じた瞬間。

銃声が響き渡った。

男が呪詛の叫びをあげて、路地の入り口を振り返る。


「ディオ、そのまま動くな」


現れたのはフレディだった。

空に向けて撃った銃の銃口を、男へと向ける。

襲いかかるナイフを身軽な動作で交わし、右足が男の腹にめりこむ。


「今銃を使ったからな。

人がやってくるぞ。

ついでに俺は警察に追われている身だ」


フレディがにやりとした。
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