空をなくしたその先に
17.死を商う女
車が滑り込んだのは、白く高い塀にぐるりと囲まれた巨大な屋敷だった。

巨大な門の前で車を止め、フレディが自分の名を告げる。

すると門番が門を開いた。

しばらく進む。

また塀が姿を現し、門の前で同じ手順をふむ。

それを数度繰り返して、ようやく屋敷に到着した。

煉瓦作りの建物は窓に鉄格子がはめられていて、厳重に警戒されている。

普通の屋敷ではないことは容易に知れた。


「降りるぞ」


当然といった顔で、フレディがダナを抱えあげ、玄関に立った。

扉を開いたのは、全身黒と白に身を包んだ女性だった。

黒のロングドレスの上から、白いレースのショールを羽織っている。

首には真珠のネックレスを何重にも重ねていた。

一番長い物は腰のあたりまで届いている。

豊かな黒い髪を頭の上に高く積むように結い上げて、そこにも真珠が飾られていた。
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