空をなくしたその先に
18.君の瞳と同じ色の
話が途切れたのを契機としたわけでもないだろうが、
手当を終えた医師が入ってきた。

「命に別状はありませんよ、奥様。

数日は痛むでしょうが、
心配するほどのことではありません」

「ありがとう、先生。

助かりましたわ。

もう一人お願いしたいのですけれど?」


イレーヌの言葉が終わる前に、医師は診療鞄を開いていた。


フレディの腕を捲りあげ、治療を始める。


「こちらもたいしたことはありませんね」

「相手も本気じゃなかったしな。

退路を確保したかっただけだろ」


ほんのかすり傷で、
手当もいらないと言い張るフレディの腕に包帯を巻きながら医師はもらした。


「それにしても、あのお嬢さんは何者なのですか?

今日一日は安静にしているようにと言い聞かせたのですが、聞かないのですよ。

どこぞへ行かなければならないのだと、今汚れた衣服を着替えているようですよ」
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