空をなくしたその先に
死んだ人間との約束など、忘れられてもしかたのないことなのだ。

それを二年の間忘れず、ずっと持ち歩いていてくれたことに。

そして、偶然とはいえダナを見つけだしてくれたことに。

心の底から感謝する。


「たいしたことじゃないさ。

俺、あいつのことはけっこう好きだったから」


そう言うフレディの表情にディオと似たものを見つけだして、ダナはとまどった。

二人とも欠点はあれど、時として思いがけないほどの優しさを見せる。

血のつながりというのは、こんなところにも出てくるものなのだろうか。


「あなたとヘクターは、どんな関係だったの?」

「そうだな」


フレディは腕を組んで、天井を見上げた。

「俺とあいつは全然違うけど。気が合った、と言うんだろうな。

あいつが王都に来た時は、よく一緒に飲みに行ったりしたよ。

あいつ、人の話はにこにこしながら聞いているくせに、自分の話はほとんどしなくてさ」

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