空をなくしたその先に
今となっては確かめるすべもないけれど。

鏡の前に立って瞳をのぞき込んでみる。

不安と、疲れと、恐れと、痛みと。

さまざまな感情が渦巻いているが、どれも悲観的なものばかり。

とてもではないが、輝いているなどとは言える状態ではない。
仕方ない。

戻ってからずっと演じてきたのだから。

十六歳の頃のダナ自身を。

大切な人を失って、自分の顔を失って、それでもまだ飛びたいと望んでしまう。

願いを叶えるには、偽るしかなかった。

彼の名を、心の奥底に押し込めて。

全てをふっきれたふりをして、飛ぶことだけを望んでいるようにふるまってきた。

本当に望んでいたのは、そんなことではないというのに。

エメラルドの光が、責めているような気がした。

いたたまれなくなって、蓋を閉じる。

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