空をなくしたその先に
「誰か坊やを迎えに来てくれ」

「了解!」


すぐにドアがノックされた。

今度顔を出したのは、ダナだった。

戦闘機を降りた今は、
飛行服は着ていない。

白のシャツに、茶のパンツを合わせていた。
足元は同じく茶の編み上げブーツだった。


「ダナか。
話は終わったから、
坊やを部屋まで連れていってやってくれ」

「わかりました」


ダナは、ディオをうながした。
ディオが退室しようとすると、後からビクトールの声がおいかけてきた。


「艦内を案内してやってもいいぞ。

こんな船に乗る機会なんてそうそうないだろうからな」


肩越しにふりかえってみると、ディオのことなど忘れたように、ビクトールは新しい酒をグラスに注いでいた。

音がしないよう、
静かにドアを閉めてダナは口を開いた。

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