空をなくしたその先に
週に一度、
変わらず母から送られてくる手紙の最後には、

「風邪をひかないようにしなさい」

と書かれているし、
二週間に一度父からかかってくる電話はいつも数分で終わる。
「勉強頑張れ」

の一言とともに。

子ども扱いしている人間に、
こんな大事な書類を持たせるというのもどうかと思うが、
父が倒れたというのなら緊急事態には間違いない。

風が頬をなでる。

急遽国に戻ることになって、
数十分後にはこの船の乗船チケットが届けられた。

同時に偽の身分証明書が魔法のように手渡され、
道中のスケジュールも決定された。

こういう時は、王家の力を実感せずにはいられない。

物を言わせることのできる権力と財力。

ディオを大学に送り出した時には、
家の力をあてにするなと言い、実際他の大学生と同じ生活を送らされたものだが。

狭い寮の寝室、堅いベッド。まずい食事。

それも青春の一ページか。
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