空をなくしたその先に
「どうするの?
艦内見てまわる?」

「……お願いしてもいいかな?」


肩をすくめて、ダナは先に立って歩き始める。

右手を軽くふったのを、
ついてこいという合図だと解釈して、
ディオも続く。

最初に案内されたのは甲板だった。

メレディアーナ号のそれとは違って、殺風景だ。

甲板は殺風景だったが、空は違った。

まさしく落ちてきそうな、という表現があてはまる。

これほどの星が、夜空にあるのだとは知らなかった。


「ちょっとすごいでしょ」


得意げな顔で、ダナは胸を張る。


「すごいね」

「あたし……。
最近まで地上にいたんだけど、この空が恋しかった」

「地上にいた、て……?」


ディオの質問は聞こえなかったふりをして、
ダナは急いで甲板をつっきった。


「次はこっち」


もう一つの船内への入り口から、ディオを呼ぶ。
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