空をなくしたその先に
「うちのメイドに悪さをしないでいただけます?」


やんわりとイレーヌにたしなめられて、フレディはようやく食事に戻る。

ダナはというと、食欲がないのか料理の大半は途中で下げさせていたが、

食事の途中で席を立つことはなかった。

食後のデザートにコーヒーまですませて、

ようやく贅をつくした、という言葉そのものの夕食が終了になる。

さて、自分に与えられた部屋に戻るか。

娯楽室で過ごすか、サロンカーに行くか。

立ち上がったダナがフレディに捕まっているのを見て、自分の部屋に引き取ることにする。


好きにすればいい。

昼間フレディに言われたことを思い出して、ちらりと反発心が芽生えたのはいなめない。

この列車は厳重に警備されているという話だから、

別に彼女と二十四時間くっついている必要もない。

攻撃されたとしても、ディオの身に危険が及ぶまでには何重もの警備をくぐりぬけなければならない。

必要ならば、それまでに彼女は絶対駆けつけてくるはずだ。
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