空をなくしたその先に
問いを重ねることをあきらめて、ディオはダナの後を追う。

階段をおりたところで、厨房からだろうか。

温かそうなスープの香りがただよってきて、
ディオの腹の虫が鳴いた。


「夕食まだだった?」


うなずいて返せば、
ダナは慌ててディオを食堂へとひっぱっていく。

並んだテーブルの一つにディオを座らせておいて、
彼女は厨房へとかけこんだ。


「あんたが『お宝』か」


柄の悪そうな、
いかにも傭兵的な雰囲気をまとった男に声をかけられて、
ディオの背筋が凍りついた。

助けをもとめて左右を見回してみても、
食堂にいるのは彼と、
彼の連れだけだった。


「おい、ジョナ。
あまり怖がらせるなよ」


連れの男が、
苦笑混じりに声をかけてきた男をたしなめる。


「お前は顔が怖いんだから、
子どもの相手は不向きだぞ」

「子どもって……もうすぐ十九になるんだけど」


子ども扱いされて、
かちんとくる。
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