空をなくしたその先に
21.襲撃
スピードを落とすことなく走り続ける列車は、人家の少ない地域へと入っていく。

翌日もイレーヌは一日サロンカーで過ごした。

汽車で出かける機会がある時には、常に新作の本を積ませるようにしている。

出発が決まったのはとっくに本屋は閉まっている時間だったが、そんなことは彼女には関係ない。

本の代金に追加して莫大な時間外手当を支払っている。

よって、本屋としても彼女の注文に答えるのはいい収入源ということになる。

マーシャルにいる時には商売の方が忙しいので、

この類の読書に励むのは列車の旅の間がほとんどだ。

ダナはおとなしくイレーヌの隣に座って一緒に本を眺めていたのだが、こちらは数冊で飽きていた。

数冊も読めば、似たような展開なのに気づいてしまう。

確実なハッピーエンド。

時々娯楽室に移動しては、フレディの玉突きにつき合って時間をつぶす。
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