空をなくしたその先に
ディオは、というと。

サロンカーで膝を抱えていたり、自分の部屋へこもってみたりと

何をしたらいいのかわからないまま列車の中をうろうろとしていた。


「襲われるとすれば、今夜が一番危ないだろうな」


ビリヤードでダナにこてんぱんにされたフレディは、

通りがかったメリッサにお茶を運ばせて、サロンカーに現れた。


「そうでしょうね。

今なら周囲の人家に及ぶ被害が少なくてすみますもの。

人家がなければ、目撃されることもありませんものね」


フレディが運ばせたお茶を当然といった顔で受け取って、
イレーヌは口の端だけで笑う。

今日も相変わらず黒のロングドレスに、ダイヤモンドを煌めかせている。

高く積み上げた髪のあちこちにもダイヤモンドが飾られていた。


「いざ戦闘となったらその格好でどうにかなるのか?」


興味深げにフレディは、彼女の顔を覗き込む。


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