空をなくしたその先に
童顔なのも小柄なのも彼のせいではない。

思わずいい返したディオに、
ジョナと呼ばれた男は手をふって謝った。

「悪い、悪い。子ども扱いする気はなかったんだ。

短い時間だろうが、楽しんでいってくれ。

うちのコック、腕はいいからな」


そう言いながらも、ジョナはディオをじろじろと眺め回した。

「……あんたが普段食っているものほど、上等ではないだろうがさ」


と最後につけ加えたところからして、
着ていたものから値踏みしたということか。

偽名で旅をしているとはいえ、メレディアーナ号のような空の客船に乗る以上
それなりな格好をするのは当然だ。

ましてや、その中でも上のクラスの部屋を取っていたのだから。

空賊の襲撃さえなければ、
今頃はメレディアーナ号の食堂で
きちんとした晩餐をとっていただろうに。

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