空をなくしたその先に
「何だよ、何だよ。娯楽室にいるのに、なぜ壁にくっついているんだ?」


イレーヌとのお茶会を終えて戻ってきたフレディは、二人を見て、首をふった。

慌てて二人はつないでいた手をほどく。

それに気がつかないふりをして、フレディはディオに声をかけた。


「ディオ、これ持っておけ」


小型の拳銃と弾、ナイフが渡される。


「拳銃の使い方は知っているだろ?」


こくりとディオはうなずく。

一応使い方は習ってはいるのだが、的にあたったためしはない。

自分が持ったところで、何の役にもたたない気はするが、

フレディが持っておけと言うなら持っておいた方がいいのだろう。


「ディオにも必要?」

「ま、念のためってやつだよ。
今はまだ明るいからいいが、このあたりは絶好の襲撃場所だからな。

自分の身ぐらい自分で守れってことだ」


ダナが腰に手をやる。

船にいた間は身につけていなかった、小さな鞄。

中身を確認するようにそっとなでる。
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