空をなくしたその先に
「ディオ君とダナは後ろね。そっちのお兄さんは助手席へどうぞ」


言われるがままにフレディが助手席に、

残る二人は後部座席に乗り込む。


「メリッサからの通信届いたか?」

「うん、彼女優秀だね。美人?」

「見方によっては、だな」

「んじゃ王都に着いたら紹介よろしく」


運転席と助手席の二人はいたって気があったらしく、こんな状況下でも交わされる会話は緊張感ゼロだ。


「そんなことより!」


運転席と助手席の間から、ダナは顔をつき出した。

屋根のない車なので、風がもろにふきつける。


「ルッツがここにいるってことは、ビクトール様は?」

「別部隊。

もう少しすれば会えるよ。

それにしても、フレドリク様だっけ?

無茶言うよね。5キロごとに車待機させろだなんてさ」


ライトを消したままでも暗闇の中で目が見えているかのように、

ルッツの運転には危なげなところがまったくない。


「役に立ったろうが。

イレーヌの偵察部隊だけではなく、アーティカの偵察機も使えて運が良かったがな」


それだけ言ってフレディは、口をつぐんだ。

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