空をなくしたその先に
傭兵団の軍用艦で、夕食をとることになるとは思っても見なかった。

味の方は期待できないだろう。
美食家だと自分のことを思ったことはないが、
どうせ食べるならおいしいものの方がいい。

ダナが戻ってきたのは、
ジョナたちが食堂を出ていってから数分後だった。

トレイの上には、野菜のスープ、オムレツとパンが並んでいた。

コーヒーのカップだけは二つ載っている。


「ごめんね、ろくな物残ってなくて。

いそいでコックに作らせたんだけど。

呼びに行ったはずのルッツは何してたのかしら」

「僕、寝てたみたいで」

「あらそうなの」


トレイをディオの前に置いて、ダナは向かいの椅子をひいた。
コーヒーカップの一つを自分の前において、
残りをディオにすすめる。


「どうぞ」


どうぞと言われても。

頬杖ついて食べるところを見守られていたのでは、
居心地が悪い。
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