空をなくしたその先に
22.初めての死闘
ダナの放った弾は、相手には命中しなかった。

相手からも返礼とばかりに、弾が返ってくる。

これも外れて、車が通過したあとの地面がえぐれ、飛び散った。


「ねえ、ディオを殺したいんだと思う?

捕まえたいんだと思う?」


ダナの問いには誰も答えない。

ハンドルの上にかぶさるほど前のめりの姿勢になったルッツは、険しい顔で前を見つめている。

もう一度弾を装填して、ダナは耳をすませた。

風が髪を乱す。

引き金にかける指に力をこめた。

発射!

今度は命中し、一台の車が横転して炎をあげる。

反動で上体が後ろへと反り返る。

それをこらえようとして膝に力が入った。


「痛いんだけど!」


ひざでぐりぐりと背中を押されてディオは、情けない声をあげた。


「ルッツ!」

「何だよ!」


前を見据えたまま、ルッツは叫び返す。


「あと二台ってとこだと思う?」

「そんなもん!」


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