空をなくしたその先に
横倒しになった車は、砂利を巻き上げながら地面を滑っていく。

ダナが転がり落ちた。

滑り続けていた車は、何かにぶつかって横になったまま止まった。


「車から出るんだ。早く!」


低いフレディの声にせかされて、ディオは車の外に這って出た。


「いったぁ……」


 横滑りしている車から転がり落ちたダナは、したたかに背中を打ち付けていた。

この状況でも大砲を手放さなかったのは、自分をほめてやりたいと思う。

装填中だったから、捕まる余裕がなかったのだ。

奇跡的にどこも骨折していないようだし、頭も打っていない。


「ダナ!」


慎重に起き上がろうとした瞬間、地面に押し倒された。

銃声とどちらが先だったのか。
上に被さっているのがフレディだと気づいて、ダナはとまどった。

頬に落ちるあたたかい液体。


「フレディ?」


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