空をなくしたその先に
「フレディが怪我したの。戦力外だと思って」

「俺最初から戦力外なんだけど?」


 緊張をほぐしたいのか、わざとらしく語尾をあげながらしゃべるルッツにダナが噛み付いた。


「あたしだって戦力外よ!」

「そこの二人喧嘩しない。

俺も引き金引くくらいならなんとかなるさ」


軽口をたたいている間に三人は、ディオを背にかばうように陣形を整えていた。


「ディオ君。

俺が走れと言ったら全力で走れ。

あっちの方向からビクトール様たちが来るはずだから。

ちょっと遅れてるけどね」


ルッツがしめす方向には何もない。

それより。
三人をおいて逃げろということか?

ディオが迷っていると、ダナが続けた。


「あんたがここにいたら、あたしたちも思いきり無茶できないでしょ。

離れていてくれた方がいい」

「僕だって戦えるよ!」


思わず口をついて出た言葉。

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