空をなくしたその先に
確かに温かなスープもオムレツも、
期待していたより味はよかったのだが、
味わう余裕なんてなかった。

流し込むようにして、食堂を後にする。

食堂を出てからは、
格納庫に砲門、
武器庫に弾薬庫、
居住区とダナはディオを連れ回した。

話には聞いていたが、
実際に軍用艦に乗るのは初めてだった。


「あとは、後方の格納庫だけかな?
あたしとビクトール様の機体だけそっちに置いてあるの」


最後に案内されたのは、さきほど着艦した船体後方だった。

誰もいないのか、格納庫の中は真っ暗だった。

ダナがスイッチを入れると、
柔らかな光が格納庫の中を照らしだす。

二機の戦闘機が並んでいた。

赤と茶で塗装されているのが、ディオが乗ってきたダナの戦闘機。

黒一色なのが、ビクトールの戦闘機だった。
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