空をなくしたその先に
狙うのは銃を持つ右手。

狙いを定めた場所に斬りつけた時には、目を閉じていた。

刃物が肉に食い込む嫌な感触。
骨にあたって止まったナイフをディオは引き抜く。

血が飛び散った。


「何するんだ、この!」


自分の優位を隠していた男は、完全にふいをつかれた。

斬りつけられた勢いで、銃を取り落とす。

ディオはとっさにそれを蹴り飛ばした。


「機密書類とやらはお前を殺してからだな!」


ディオのナイフを奪おうと、二人はもみ合いになった。

頬を殴られてディオはよろめいた。それでもナイフは放さない。

系統だった攻撃なんてできるはずもない。

ただめちゃめちゃにナイフを振り回す。

今度は腹を蹴りあげられた。

息がつまった。

うめき声をあげて地面に倒れる。

倒れたまま酸素をもとめて、せわしなく呼吸を繰り返す。

男が足をあげたのを目の端で確認して、横に転がった。

今までいた場所に足がおろされる。


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