空をなくしたその先に
「肝心の時に役に立たなくて。
あなたに手を汚させるつもりはなかったのに」


「ダナ……僕は」

「本当に役に立たないわね」

「そんなことない!」


対するディオの反論は強いものだった。


「君がいなかったら、僕はここまで来ることなんてできなかった。

感謝している」


アーティカの救いの手がなかったら、

メレディアーナ号の船上で研究成果を奪われていたはずだ。

殺されていた可能性だってある。

あの時船に乗り込んでいたのは、
マグフィレットの王位継承者ではなく、一介の大学生なのだから。

ダナは今まで見せたことがない、情けない笑みをうかべてディオを見た。


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