空をなくしたその先に
「あたしね、

傭兵なんてやってるけど。

それでも戦場に出た夜は眠れないの。

だってそうでしょ?

敵だろうが見たことない相手だろうが、

人を殺していることにはかわりがないんだから」


ディオの前で涙など見せないと思っていたはずなのに。

一度あふれた涙はとどまることを知らなかった。


「ごめんなさい……あなたにこんな思いをさせるつもりなんて……」


ディオは、しゃくりあげるダナを引き寄せた。

大丈夫だなんて、でまかせを言うことはできなかった。

こうして外に出てきているのは、ディオ自身まいっているからだ。

ただ、肩を震わせるダナを引き寄せて、抱きしめる。

今まで何度も彼女がそうしてきてくれたように。

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