空をなくしたその先に
「あたしも、もう後ろに人を乗せるつもりはなかったんだけどな……」


つぶやいた声は小さかった。

一瞬、その背中が小さく見えて、ディオは思わず手をのばしかけた。

意味ありげな言葉の理由を問いただそうとした時、
ダナは勢いよくふりかえった。

慌てて伸ばしかけた手で、
前髪を直すふりをする。


「さっきは、ごめんね。
怖かったでしょう。
ビクトール様にも叱られちゃった」

「怖くなかったと言ったら、嘘になるけど……でも、あそこで撃墜しなかったら逃げられなかったんだろう?」

「あたしはそう思ったんだけど。

パイロットの席からじゃ攻撃力は十分じゃないし……。

あたしの任務は、敵を全滅させることじゃなくて、
あんたを無事にフォルーシャ号に連れてくることだから」


そういえば、とようやくディオは思い出した。
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