空をなくしたその先に
ディオとフレディに臆することなく言葉をかけるのはビクトールだけで、

フレディは肩の傷が痛いとディオの相手をしている余裕などない。

食事も皆と別だったから、口を聞く相手もいなかった。

部屋を抜け出してダナを探してみようとも思ったのだが、

ビクトールたちと再会した夜を例外として、

扉の前には常に警備担当者が立っていて抜け出すことなど許されなかった。

留学前にはそれが当たり前の生活だった。

王宮にいるのはディオと両親である国王と王妃。

あとは全員使用人と国務にあたっている者たちだけで、常に一人。

友人といえば何日も前から計画を立てて、王宮に招待される貴族の子どもたちだけ。

心を割って話せる相手ではなかった。

大学に入ってようやく友人に囲まれて、以来それに慣れきっていた。

こんな風に周囲から隔絶された環境は久しぶりだ。

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