空をなくしたその先に
「ディオス……ディオ……」
最初は正式な名で、ついで愛称で呼んで背中に回した腕に力をこめる。
しばらく会わない間にずいぶんやつれていた。
「あと一日早ければ間に合ったものを……」
「もうしわけありませんでした、母上」
父親の容態については、ビクトールから聞かされていたから覚悟はできていた。
それだけを何とか搾り出して、ディオは母親からそっと身をひく。
彼女の身をつつむのは黒い喪服。
ちょうど昨日の今頃、国王ディオゲネス三世は息をひきとったのだという。
その父の遺体は、今は王宮にはない。
防腐処理を施すために運び出されている。
マグフィレット王国の慣習で、国王の遺体は防腐処理を施された上で、
半年にわたって定められた場所に安置されることになっている。
半年の間は国民誰もが花を捧げることを許される。
その期間が終わり国王の葬儀を行った後、新しい王が即位することになる。
最初は正式な名で、ついで愛称で呼んで背中に回した腕に力をこめる。
しばらく会わない間にずいぶんやつれていた。
「あと一日早ければ間に合ったものを……」
「もうしわけありませんでした、母上」
父親の容態については、ビクトールから聞かされていたから覚悟はできていた。
それだけを何とか搾り出して、ディオは母親からそっと身をひく。
彼女の身をつつむのは黒い喪服。
ちょうど昨日の今頃、国王ディオゲネス三世は息をひきとったのだという。
その父の遺体は、今は王宮にはない。
防腐処理を施すために運び出されている。
マグフィレット王国の慣習で、国王の遺体は防腐処理を施された上で、
半年にわたって定められた場所に安置されることになっている。
半年の間は国民誰もが花を捧げることを許される。
その期間が終わり国王の葬儀を行った後、新しい王が即位することになる。