空をなくしたその先に
「メレディアーナ号に乗っていた人たちって……」

「乗客は仲間が全員救出した。
けが人は出たみたいだけど。

船もなんとか近くの港まで運ぶことができたって」

「よかった」


ディオは胸をなでおろした。

どこから話がもれたのかまではわからないが、
空賊たちの目当てが自分だったということは間違いがない。

自分のせいで死亡者が出たとしたら、
後味が悪いことこのうえない。
その場所を最後に、ディオはルッツの部屋へと送り届けられた。

ルッツ本人はどこに行ったのかというと、
船の機関室でトラブルが発生したとかで

そちらにかかりきりになっているらしい。

危険だという理由で、機関室までは案内してもらえなかった。

「ダナ」


部屋の扉に手をかけて、ディオは言った。

心からの感謝をこめて。


「助けに来てくれてありがとう」

「任務だから」

そう口では言いながらも、彼女は笑みを返してくれた。

暗い廊下が、一気に明るさを増したように感じられたほど明るい笑みを。

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