空をなくしたその先に
離れたければいつ出ていってもかまわない。

十五になった時にそう聞かされた。

本人が望むのならば地上の学校へ行くこともできるし、奉公先を世話してやるとも教えられた。

地上におりた仲間も少なくなかったが、サラは残ることを選んだ。

ダナの祖母が住んでいたのは、
オリガとハーリィが結婚生活を送っていた家のすぐそばだったから、

二人の間に生まれたダナは妹のようなものだった。

親同士が親しかったから、そこにヘクターが加わるのも当然の結果だった。

いつも後ろをついてきていた二人から、離れることなんてできなかった。

二人が母親を……ダナは父親をも失ってからは、サラがめんどうをみるようになった。

残ったサラを高く評価して、ビクトールは周囲の反対を押し切って副官へと取り立ててくれた。

どれほど感謝してもしきれない。

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