空をなくしたその先に
それしか頭にないのかと問いただしたくなるほど、ライアンは毎晩リディアスベイルに乗り込んでくる。


「どうして軍に入ろうと思ったの?」


ライアンの手招きにはこたえず、サラは脚を組み直した。

行儀が悪いのは承知の上で椅子に横向きに座り、背もたれに肘をかけてライアンを見つめる。

「お?俺についての初めての質問だな。

ようやく俺に興味が出てきたか」

「……そういうわけではないけれど」


そういえばお互いの素性について詮索したことなどなかった。
必要なんてなかったから。

知っているのは、互いの名前と年齢くらいだ。

それだっていくらでも偽ることはできる。

ライアンにふれられるのは嫌ではないが、しょせんは契約上の関係でしかない。

そこに特別な感情などない。

彼でないのなら、誰だって同じ。
「養わなきゃならないやつがいっぱいいるからなあ」


ライアンは目を細めた。
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