空をなくしたその先に
ライアンのことなど何とも思っていないはずなのに、
胸に針を刺されたような痛みを覚えて、サラは目をそらす。

似ている。

共通点など黒い髪と恵まれた体格程度でしかないのに、

ふとした時に見せる表情が、ビクトールにもヘクターにも似て見える。


「奥さんと子どもを家に残してきているのね」


ということは、妻を裏切っても平気という程度の男ということになる。

軽い失望を感じながら、サラは話を変えようとする。


「違うって」


ライアンは手をふった。


「ガキが十五人。

ひょっとすると今頃もうちょい増えているかもな」


靴を履いたままベッドの上に寝転がって、ライアンは両腕を折り畳んで枕にした。


「靴くらい脱ぎなさい……十五人?」


隠し子にしては多い。

ということは。


踵で靴を蹴り落としながら、ライアンは続ける。


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