空をなくしたその先に
「だろうな」

「私が愛した男は、今までに一人だけ。

そして彼は他の女の子を愛した、それだけの話よ」


サラを組み敷こうとしていたライアンが動きをとめる。


「女の子、だと?」

「私より十歳も若いんだもの。女の子でいいでしょうよ」


「女は若いほうがいいってか。バカだな、そいつ」


反論しようとしたサラの唇を、ライアンは自分のそれでふさぐ。

右手をのばして、部屋の明かりを消した。

数時間後、再び艦長室が明るくなる。

出ていこうとするライアンを見送るサラは、完全に身支度を整えていた。

彼を送り出した後、このまま艦内の見回りに行くつもりだ。

乗り込んでいる人間を信用していないわけではないが、用心を重ねるにこしたことはない。


「三日後だそうだ」


出撃命令の期限をライアンは告げる。

ランプを手にライアンに続こうとしていたサラは、予想通りというように首をふる。


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