空をなくしたその先に
「……一つ謝っておかなきゃならないことがある」


艦長室の扉に手をかけて、ライアンはためらいがちに口を開く。

「センティアの研究所でおこなわれていたあれ、実用にはほど遠い代物だったそうだ。

つまり当面はマグフィレットに空を独占されることはないだろうってことだ」

「あらそう」


吐き出したため息は、納得したものではない。

ライアンは素直にわびの言葉を口にする。


「……だましたみたいになって悪かった」

「いいわよ」


だまされる方が悪い。

ライアンから話を持ちかけられた時に、もっと慎重に裏をとればよかったのだ。

決断には時間をかけたつもりだったけれど、調査がたりなかったのはサラの失態だ。

心がゆれないわけではない。

ライアンを部屋の外に押し出しながら、サラは自分に言い聞かせる。
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