空をなくしたその先に
兄である国王ともそれで合意していた。

秘密を抱えて兄が逝った後、彼の息子には伝えておかなければならない。

「あなただけが知っておけばいい。

見ていただきたいものがここにあります」


ゆっくりとした動作で立ち上がり、壁にかけられた絵を外す。
その後ろに隠されている金庫は頑丈なもので、

破壊しようとしても難しく、
複雑な暗証番号を入力しなければ開けることができない。

その中身を見せられて、ディオは顔色を変えた。

それはディオが生まれる前、死去したフィディアスについての記録だった。

ある貴族にそそのかされて、自分が王位に着くことを望んだ彼。

計画は事前に漏れた。

ディオの目の前にあるのは、秘密に行われた裁判の記録だった。


フィディアスは、病死に見せかけて処刑。

そしてもう一人。

「サイリーン・シルヴァ?」


記されていたのは聞いたことのない名前だった。

< 389 / 564 >

この作品をシェア

pagetop