空をなくしたその先に
「これって……」

「あなただけが知っていればいい話だ。

将来、このことを利用しようとする人間が現れたときにのみここにある証拠のことを思い出せばいいのですよ、王子。

誰も利用しないことを祈っておいてください」


ディオが落とした書類を、一枚一枚丁寧に拾い上げながらフェイモスは言った。

ふらつく頭を抱えながら、ディオはフェイモスの家をあとにした。

彼が知った秘密は、一人で抱えるには重いものだった。

それでも、誰かに話すわけにもいかない。

やらなければいけないことが山積みなのが救いだった。


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