空をなくしたその先に
戦争は、少しずつ歩みを進めていた。

センティアとマグフィレットの間を航行していたメレディアーナ号は再度襲撃を受け、

死者こそ出なかったものの、乗員乗客数十名が重軽傷を負った。

これにより、マグフィレット王国とセンティア王国の間の空の便は航行を停止した。

陸路を使うと、数カ国を経由しなければならない上、倍以上の日数がかかることになる。


アリビデイル王国は、そのまま空からマグフィレットへの侵攻を開始した。

陸続きであるセンティアへは、陸から軍が侵入した。

事前にセンティア側にも情報は流れていたから、防衛の体制は整えられていた。

国境近辺で激しい戦闘となり、戦局は一進一退を繰り返している。

マグフィレットへは、飛行島三島を含む、数百にも及ぶ軍用艦部隊が海域から攻め込んでいた。

攻撃を受けたばかりのアーティカの部隊は、まだ出られる体制を整えることができず、

先に正規軍と他の傭兵部隊が出撃していった。

軍用艦のようにフォースダイトを搭載している船は、数週間なら無補給での航行が可能だ。

どちらからも手を出すことのないまま、両軍は海の上でにらみ合っている。

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