空をなくしたその先に
「もう行かなきゃ。

今日が最後の休日なの。

これからルッツと待ち合わせして、ご飯食べに行って、

甘いもの食べに行って、

もう一軒甘いもの食べに行って、それから……」


ダナの言葉が途切れた。


「さよならなんていやだよ」


彼女の腕を掴んで引き寄せて、自分の腕の中におさめながらディオはうめく。

自分が泣き言を口にしているのはわかっていた。


「ディオ」


なだめるようにダナの手が背中に回される。

背骨にそって、優しくディオの背中をなでた。

旅の間何度もしてくれたしたように。


「さよなら、よ。

無事に戻ってきたってもう会う機会なんてないでしょ」


空へ戻ることができないかもしれない。

そう言っていたのに、彼女は戻ろうとしている。

戦いの空へと。


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