空をなくしたその先に
パワーの制御に失敗すれば、機体は墜落する。

その制御を確実に行えるのは、現在ディオただ一人だけ。

研究室の中ならば、他の学者たちもできないわけではない。

ただ、兵器として実際に活用するならば。

気温湿度風速等、ありとあらゆる気象条件を考慮した上で、瞬時に流すエネルギー量を計算し、調整しなければならない。

それができるのは、センティアでその研究に没頭していたディオだけだった。

他にそれができた研究者たちは皆、その命を奪われている。

センティアの研究所が、炎に包まれた時に。


「国を治めるのは僕じゃなくてもできる。

実際、今は叔父上にすべてをおまかせしているわけだし」

「それは……」


フェイモスは言葉につまった。

思うように国を切り盛りするために、ディオが口をはさまなければいいと思っていたのは事実だった。

王位ではなく実権を。

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