空をなくしたその先に
結局、機体を引き上げてほしいとビクトールに言うのもはばかられて、そのまま戦場まで来てしまった。

工具片手に機体の下にもぐりこみながら、ダナは続ける。


「ほんと、動きが悪くてイヤになっちゃうわ。

どこかでフォースダイト調達してくるっていうのどう?」

「空賊にでもなる?」

「それもいいかも。

フォースダイトよこせって、銃をふりまわすの」


ルッツの提案に、けたけたと笑いながらねじをしめていると、
「それは困るぞ」


新しく加わった声に、ダナは機体の下からはいだした。

腕を組んでビクトールが見下ろしている。


「その機体は予備機に回す。

ダナはこっちに来い」


呼ばれてダナはビクトールに続いた。

船団の後方にはクーフとトーラス、それに他の傭兵団の持つ飛行島が二島ひかえていた。

クーフへと小型機で移動する。

ビクトールは足早に島の中にある自分の家へと進みながら、ダナに言った。

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