空をなくしたその先に
「肩はよくなったの?」

「おかげさまで。君のためなら何度撃たれたってかまわないさ」

「それとこれとは別問題」


さりげなくフレディが肩にまわそうとした手を、ダナはぴしゃりと払い落とす。

つれないなぁとつぶやいたフレディの顔を微苦笑がかすめた。


「午後からディオ乗せて飛ぶの。見ていく?」


そのダナの提案には、二人揃って頷いた。

昼食を取り、少しばかりの休憩をはさんで、ディオは飛行服に袖を通した。

首元にきつくスカーフを巻いて、皮のグローブをはめる。

その手を数度開いて、閉じてを繰り返した。

震えて、思うように動いてくれない。

震えを無理矢理におさえつける。

落ち着け。

何度も自分に言い聞かせる。

彼が計算を間違えれば、前線に出る前に二人とも命を落とすことになる。

ダナに尻を押し上げられて、後部座席に半分落ちるようにして入った。

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