空をなくしたその先に
「今だ!」

「撃つわよ!」


ダナは、発射装置のスイッチを押した。

他の機体ならば、機関銃の弾が発射されるはずの場所から、真っ白な光が飛び出す。

狙いは正確だった。

的に光があたったとたん、白い煙だけを残して標的は消えた。

クーフからもその様子はよく見えた。

フレディがつぶやいた。


「神の裁きの光ってあんな感じなのかな?」

「裁きの光が存在するのなら。
私たちは、今こんなところにはいませんわ」


イレーヌの声に苦いものが混ざった。

イレーヌにはかまわず、フレディは自身に投げかけるかのように続ける。


「あの設計書、ディオに頼んだら手に入らないかな」

「無理でしょう。

王子はこの戦いが終わった後、すべて破棄するつもりのようですから」

「だよなあ」


島での不穏な会話に全く気づくことなく、戦闘機の二人は今の結果を冷静に分析しようとしていた。
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