空をなくしたその先に
「あとはよろしくって……」


ダナは首をふった。

自席から機体の様子を確認してみるが異常は見あたらない。

すべての計器は、正常な値をしめしている。

ルッツはフォルーシャ号にいるが、クーフにも整備士は残っている。

走りよってきた整備士たちに機体をまかせて、ダナはゴーグルを押し上げた。

悪くはない。

機体の性能自体は悪くはないのだ。

ただ扱いにくい、とは思う。

それだって、機体を乗り換えたときに感じる違和感の範囲内といってしまえばそれまでなのかもしれない。

今回は通常の武器は装備することができない。

ディオが発明した「あれ」だけだ。

いちいち小型戦闘機相手に「あれ」を使用するわけにもいかない。

ダナとディオは軍用艦の破壊に専念することになる。

そのために、護衛として四機の戦闘機とともに出撃することが決められていた。

先ほど的を投下したのは、そのうちの一機だ。
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