空をなくしたその先に
一枚を取って眺め、頭をかいて放り出す。

もう一枚を手にして、何事か書きつける。

フレディの言っていたように、邪魔などできる雰囲気ではなかった。

ディオが身体をひねった。

後ろにおいていた紙を取ろうとして、扉からのぞきこんでいたダナと目が合う。


「何?」

「ごめんなさい、邪魔するつもりはなかったの。

フレディが帰る前に話したいって言ってたから」

「そっちに行くよ」


ひょいひょいと紙の間からわずかに残る床を踏んで、ディオは扉に到達した。


「どんな感じ?」

「実戦で使うときには連続十数回までしか使えないみたいだ。
多分、回路が熱暴走しようとしているんだと思う」

研究室ではそんなことなかったんだけど、とぼやいてディオは前髪をかきあげた。


「雷神の剣も無敵じゃないってことだね」


口に出してから、しまったと思った。

ダナには、研究員たちの間での呼び名などないと言っておいたのに。


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