空をなくしたその先に
そのことで二人の間がぎくしゃくしても困る。

今の二人は主従ではなく、対等な関係を結んでいるように見える。

互いを信頼していなければ、空を駆けるなんてことはできっこない。

水を差すこともあるまい。

今はまだ。


「……やるか」


ビクトールは最新の天気予想図を持ってこさせた。

明日の早朝、まだ暗い時間帯の天候を確認する。

ここのところ良好な天気が続いていたが、それは明日も変わらないようだった。

日の昇る直前に相手の船団に到着するよう、逆算して出発の時間を決める。

部隊のどこに攻撃を加えるのが一番有効かを確認するために、偵察機も出した。


「言うまでもないがな、ゆっくり寝ておけ」


二人を部屋から追い出しながら、ビクトールは言った。

護衛につく機体に乗り込む人員ももう決めてある。

彼らにも出発の時間を連絡し、休息をとるようにと告げた。

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