空をなくしたその先に
緊張しているからか、ディオの眠りは浅かった。

何度も寝返りをうっては、そのたびに目を覚ます。

皆眠りについているであろう時間になって、ディオは思い出した。

ジョナが言っていた。

キッチンに行けば、酒が置いてあるはずだ。

軽く飲めば、緊張も解けるかもしれない。

そっと部屋を忍び出て食堂へと向かう。

ほとんど明かりのともっていない廊下を、足音をたてないように歩いていく。

食堂には、ごく小さな明かりがつけられていた。

こんな時間に誰だろうと自分のことを棚にあげて、中をのぞきこむ。

一人座っていたのはビクトールだった。

椅子の前後をひっくり返して座り、背もたれに顎を乗せている。

前のテーブルには酒瓶とグラスが置かれていた。

黙って立っていたのにディオの気配に気づいたらしく、ビクトールはディオを手招きした。

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