空をなくしたその先に
他の戦闘機と違い、二人の乗る機体は垂直発艦が可能だ。

まず二人がフォルーシャ号を離れた。

ディオはウィンドウごしに上を見上げた。

まだ空は明るくなっていない。
星が空一面に散りばめられている。


後方を確認すると護衛の機体が四機、軍用艦前方から撃ち出されるようにして、出撃してきた。

二人の乗った機体を中心にするように、陣を組む。


「準備はいいか?」


通話装置からジョナの声がした。


「さっさとやってさっさと帰りましょ」


言葉と同時に、ダナがスイッチを押し上げた。

機体が加速する。

形ばかりの背もたれにおしつけられて、ディオはうめいた。

それでもすぐ前の計器から目は離さない。

エネルギーの流れは正常。

今の気象条件を入力する。思っていたより気温が低かった。

一時間ほど飛行を続けた後、敵の船団が見えてきた。

闇の中に艦が並んでいる。
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