空をなくしたその先に
引退した者すべてが監視の任にあたることができるわけではなく、
団長に見込まれた者だけが許される。

責任ある任務というわけで、
引退時にこの任務につくよう命令されるのは一種の名誉のようなものらしい。


「今は、ティレント方面に向かっているな」

「陸地に近づきないようにしろよ。万が一ってことがある」

「わかっているって」


口々に言う三人を横目で見ながらダナがささやいた。


「島から石一つ転がり落ちただけで、下では大惨事につながりかねないから。
現在地は大切なの。

あたしたちは基本的には海の上にいるってわけ」


下に島があったり、船がいたりした場合はどうなるのだろうとディオは思ったが、そこも計算されているのだろう。

そうでなければ、海路を使っての航行などできるはずがない。

監視室を出て、
ダナはディオをビクトールの家に案内した。
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