空をなくしたその先に
生き残るためには強力な武器が兵器が必要だ。

それを行使することに、彼はためらいを感じない。

大切なのはまず生き残ること。
戦争が終われば、その開発によって得られた技術をほかに転用することだってできる。

昔からそうして発展してきたのだから。


「私は……私は、反対です。許せません。

空を一国が独占するような兵器など。

空に生きる者の誇りにかけて、許せません。

それを許容するというのならあなたも許しません。

こちらも全力でいきます」


回線を沈黙が支配した。

若いな、とビクトールは思った。

数十年前なら、彼本人もそう思ったかもしれない。

実際に行動にうつすかどうかは別としても。

ビクトールは最後の警告を通達した。


「サラ……俺はやるぞ?もうすぐダナが出撃する。

戻ってこないならせめて下がれ」

「傭兵にかける言葉とも思えませんね。

あなたの方こそ下がりなさい、ビクトール・ヴァンス。

あなたの持つ兵器は、この空には存在してはいけないものです」


くすくすと笑う声。

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