空をなくしたその先に
ダナはようやくリディアスベイルを見つけた。


「ディオ」


名前を呼ばれるまでもない。


「いいよ、いつでも」


ディオはすでに、数値の修正を終えていた。


「ありがと」


ちらりとディオに笑顔を向けて、ダナはすぐに正面を見据える。

ありったけの感謝と尊敬の念と裏切られた失望と。

ありとあらゆる感情をこめて。
一瞬のためらいの後、ダナはボタンを押す。


「あたれぇ!」


ダナは放つ。

この世界最強の閃光を。

リディアスベイルの艦底が溶かされた。

それと同時に。

アーティカからの砲弾がリディアスベイルを直撃した。

サラはとっさに顔をおおって、床に倒れ込んだ。

艦全体を衝撃が襲う。

艦橋に流れ込んでくる風。

飛び込んでくる砕かれた艦の破片。

いつかのことを思い出した。

衝撃が収まるのと同時に咳き込みながら、彼女は立ち上がる。
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