空をなくしたその先に
「ライアン!」


立ち上がった彼女の視線の先には、倒れているライアンの姿。
叩きつけられた時に頭をうったのだろう。

意識がない。

艦の破片で傷つけられたのか、肩から出血もしている。


「終わりね、これで」


サラのつぶやきを、すぐそばにいたエレンが聞きとがめた。

よろよろと立ち上がってくる、アーティカから連れてきた部下たち。

軽傷を負った者はいるものの、死亡者はいなかった。


「この艦が終わりってことよ」


サラは通話装置を手にした。


「全員脱出なさい。この艦はもうすぐ沈むわ」


大きく息を吸い込んで続ける。


「ライアンが怪我をしたの。

私の部下に連れて行かせるから、彼と医師を同じ救命艇に乗せて頂戴。

専門家の手当てが必要だわ」


乾いた音をたてて、通話装置が元に戻される。

それからサラは、艦橋内を見回した。


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