空をなくしたその先に
「あの真ん中にダナがいるって聞いたんだけど?」

「そのようですな」


アーティカの長は、無骨な外見からは想像もつかないほど優美な仕草で、女性たちの間へと入っていった。


「ビクトール様よ!」


押し殺した、それでも黄色い歓声があがる。


「ダナ様!」

「すてき!」


彼女たちの歓声は、押し殺していても会場内に響きわたる。

何人かがぎょっとしたようにこちらをふり返った。


「いったいどうなって……」


ディオが口を開けてその様子を眺めていると、フレディが笑いながら教えてくれた。


「今じゃダナはちょっとした有名人ってやつなのさ。

なにしろ今回マグフィレット軍一の撃墜数だしな。

ビクトールは前から女の子……まあ熟年の御婦人ふくめて、人気あったし。

あの二人がならぶと絵になるのは間違いないところだろ」
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